【Studio講座 第4回】 RendererEditorを活用したシーン制作

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久々のStudio講座です。今回は背景マップを使ったシーン全体のお話。
下記記事で公開している動画シーンのメイキングも兼ねて、主にRendererEditorプラグインを使ったカスタマイズを解説してみます。

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RendererEditorは僕にとってはスタジオ表現の幅を広げてくれる理想的な機能を持ったツールで、今ではほぼ全てのシーンで使っているぐらいこれ無しでは考えられないツールです。Modをバリバリ入れてスタジオを遊んでいるような人なら当然のよう導入しているとは思うけど、僕のブログではまだちゃんと取り上げてなかったと思うので、今更ではありますがシーン作成例を紹介しながら基本的なことをまとめてみました。

準備するもの

■必須ツール
RendererEditor 1.3.0
 StudioNEOにおけるほぼ全てのマテリアルプロパティを編集できるようになります。
HSUS 1.6.1
 もはや導入しない理由がない定番の必須ツール。カラーピッカーを拡張するためにも必要。
HSExtSave
 RendererEditorで変更した情報をシーンに保存するのに必要。
LightingEditor 1.1.0
 光源をより細かく制御するために必要。
上記は全てJoan氏が公開しているツールで、これらはこちらのページから入手可能です。
誰かが彼の仕事は実質DLC2.5相当に値すると表現していましたが、まさにそれぐらい昨今のハニセレ表現の上昇は彼の功績によるものが大いにあると言えます。
■その他使用したMod
[Joan] HS Image Based Lighting 4.9
 シーン保存に対応したJoan氏版IBL。今回はブルーム表現のために使っていますが、IBLには前提としてLRE環境が必要になるので導入は任意で。
[MakotoYuki90] MMD map dance
 今回使用させたいただいたマップ。
[meta] screen v1.51
 RendererEditorと併用してお好みの背景画を重ねることができます。
[meta] Transparent Texture Collection vol.1
 上記meta screenの追加テクスチャパック。
[meta] Spotbeam v1.1
 スポットライトの演出用に。
[KoramaAnte] Simple Animated Effects ver1.1
 様々な動きのあるエフェクトを追加できます。

RendererEditorのUIをざっくり解説

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StuidioNEOで扱えるアイテム、キャラクターを選択するとこの欄に各パーツ(フレーム)一覧が並びます。フレームを選択すると内包しているマテリアル情報が左に表示されます。

各フレームの表示/非表示。このチェックを外すとスタジオ内でそのフレームは見えなくなります。余計なパーツを消すときに便利。

影を落とす、受ける、または影だけを表示にするなどをON/OFFできます。

変更したマテリアル情報をリセットできます。

レンダーキューの数値変更。アルファ病対策などに便利。

カラー情報、各種テクスチャの変更、表示/非表示、書き出し(Dump)など。テクスチャデータを変更したい場合は、HoneySelect\Plugins\RendererEditor\Texturesディレクトリに入れる。

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ウインドウをスクロールすると下部にもパラメーター項目がずらっと並んでいます。
シェーダーによって項目は変わりますが、よく使われるのはMetallicとSmoothnessによる光沢表現など。各項目の詳細が知りたければUnityの日本語マニュアルなどを参考してみてください。


少し余談ですが、透過マップを使用しているマテリアルなどは、Cutoff値のパラメーターを変更することで、切り抜き具合を調整できます。例えば[meta] Liquid Sweatではこのように汗の量をコントロールできたりします。ちょっとした小技ですね。

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というわけで、RendererEditorを使えば通常では色変更すらできないアイテムも、このように自由に変更することができます。あくまでStudio内でパラメーターを変更しているだけなので元のデータが変更されることはありません。そしてこれらの変更はシーンデータにも保存されるので、環境を満たしていれば他人にも共有することができるというわけです。

マップを配置してパーツごとに調整していく

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今回使用するマップは、ボーカロイド関連から移植されたステージMod、[MakotoYuki90] MMD map danceから”Chenge me”というマップを使います。(ちなみにオリジナルは”Change me”です。スペルミスかな?)

スタジオにロードした初期の状態が上記画像。移植の再現度は高いのですが、どうしても光物が再現できないため少し地味な印象を受けます。ちなみにオリジナルはこんな感じで色々アニメーションしていて華やかなステージです。この雰囲気に近づけてみようと思います。

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試しに床の白い部分を光らせてみましょう。
このステージmodは一つのフレーム内に全てのパーツが収められているのでマテリアル一覧のスクロールが大変ですが、よく見てみるとマテリアル名がyukaとかkaidanと日本語ローマ字表記されているので、何のパーツなのかはわかりやすくなっています。

適当な床を選択して_Colorをクリックしてカラーピッカーを呼び出し、明るさを数値入力で250にしてみます。(スライダーではなく数値入力です。ここ重要。)
通常なら100が最大値ですがHSUSの機能によりリミットが解除されていて白よりも更に明るくすることができるようになっています。白より明るいとは可笑しな表現ですが、つまり100以上になると発光色となり、グロウ効果を付加することが出来ます。
この効果を光らせたいマテリアルにそれぞれ設定していきます。

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このようにグロウ効果を綺麗に表現したい場合はやはりIBLの使用が望ましいです。IBLのUIを起動しPerception→Bloomの項目で光の拡散具合を微調整します。かけすぎに注意。

正直言って僕はこのグロウ(ブルーム)効果を得るためだけにIBLを使用しているようなものです。IBLによるブルームや環境光は魅力的ですが、作ろうとしているシーンにその効果が必要ないのであれば4K Graphic Patch +カスタム Color Curve環境も十分だと思います。
ですからこの記事に書いてるからといって無理にLREとIBLを導入する必要はありません。しかし使いこなせれば強力なツールになるのも事実です。まぁIBLに関しては日本語で説明している記事が少ないので、いつか記事にまとめたいとは思っていますが・・・。

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IBLを導入していないバニラ or 4K Graphic Patch環境の場合は、System→画面効果→ブルームの値を調整してみたください。IBLのようなリッチな表現には届きませんがHDRをONにしてブルームを強めにするとこんな感じになります。これでもアイテムを呼び出した初期状態と比べれば結構印象が違うはずです。

スクリーンやエフェクト効果を追加していく

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ステージ奥が寂しく感じたので、[meta] Screen 5の透過スクリーンを配置します。追加パックの[meta] Transparent Texture Collectionからテクスチャを二種類使用しました。
そして動く閃光エフェクトが欲しかったので[KoramaAnte] Simple Animated EffectsTrail Dotを回転ギミックに仕込んでアニメーションさせてみました。 

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ステージ反対方向のオーディエンス側を見てみると真っ暗で、なんとも寂しい光景になっていたので、ここにもスクリーンやエフェクトを追加。今回は動画シーンのため、カメラが回り込んだ時のことも考慮する必要がありました。

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最後におまけで、回転するスポットライト群を配置。名付けてローリングスポットビーム。
もはや光を照らす照明ではなく、エフェクト演出のための道具といった感じでスポットライトすら入っておりません。 これもカメラがローアングルになった時を考慮して配置した要素です。 

背景とキャラクターを完全に分離したライティング方法

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ライティングについても少し解説しておきます。
キャラクターの顔が良く映えるように光源を追加していくと、背景も明るくなってしまい、上記画像のように全体的に露出オーバーな絵になってしまう。 これを回避するには全体光を使用しない、または(キャラのみ)と書かれている光源アイテムを使用するしかないのですが、しかしキーライトには影が汚いスポットやポイントライトは使いたくないし、今回のようなアイテム型のマップは(キャラのみ)光源が有効に機能しないことも多い。 そこでLightingEditorの出番です。

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全体光のカリングマスクの項目を開くと色々設定チェックボタンが並んでいますが、ここでDefaultボタンをオフにすると下記チェック項目のみが有効になるので、Mapに関する二つのチェックボタンをオフにするとライトがマップに影響しなくなり、キャラクターのみに光が当たるようになりました。上の画像と比べると理想的なバランスですね。

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この機能を駆使することでマップだけのライトと、キャラクターだけのライトを完全に切り分けて調整することが出来ます。
カリングマスクの項目については僕もよく理解していませんが、おそらくこのボタンがライトのマスクレイヤーのような構造になっていて影響範囲を切り替えれるようなものではないかと思います。
とにかくDefaultボタンとChara/Mapボタンのオンオフによる効果だけでも覚えておくと便利だと思います。

※追記
HS Studio NEO Addonにはアイテムのライト種別 ("マップのみ"、"キャラのみ") を変更できる機能があるので、これでアイテムのライト属性を設定しておくと完璧にコントロールできます。

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1. 設定を変更したいアイテムを選択。
2. Advanced IK GUIを開き、"Item" タブを選択。 
3. "Light Type" の横に表示されている "Map" / "Chara" ボタンを押して切り替えます。

Mapを指定した場合は 全体光/スポットライト/ポイントライトの "(マップのみ)" が反映されるようになります。

ギミックで光の微妙な動きを演出


完成したステージセット。
マップ用ライトにも回転ギミックを仕込んでみると、ステージの床や階段の光がゆらゆらとアニメーションしてるような効果が出せました。動画用のシーンには使えそうなテクニックです。



回転させてみるとこんな感じで、思いのほか凝ってしまいましたが、動画でなければここまでやる必要はありませんね。何気に昨年海外のコンテストで優勝した時の作品よりも時間がかかってしまったと思います(汗。

応用編


もう一つ同じような手法でカスタマイスしてみたので紹介。 
透明感を強調して宇宙空間のような舞台ステージを演出してみました。何気にここでもローリングスポットビームを流用しています。まぁ無くてもいい要素ですけど(笑。

透過オブジェクトが重なった時の問題

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透過シェーダーを使っているオブジェクトで気をつけねばならないのがアルファ病。 奥にあるものが手前に表示されてしまう現象を見たことがあるかと思います。これまでSB3Uなどのツールを使わない人にとっては不治の病も同然でしたが、これもRendererEditorが解決できるようになったので、スタジオ上で修正していきます。

レンダーキューの数値はレンダリングする順番みたいなもので、遠くにあるオブジェクトからカメラに近いほど数値が大きくなります。透過にしたことで問題が起きたこのマップのマテリアル部分は数値が2000だったのでキャラクターより前面になるように大きな数値に変更して解決しました。

modをよく導入しているとこの手の問題はよく起きます。かくいう僕も最初の頃は理解できていなかったので昔リリースした[meta] Spotbeamはキャラクターに重ねると同じような問題が発生していました。最新版では解決済みなので使われている方はお手数ですが記事冒頭のリンクからDLしてください。

シーンデータの配布

今回カスタマイズしたステージのシーンデータです。 IBL環境推奨のシーンですが、バニラ or 4K Graphic Patch環境用のデータも置いておきます。




というわけで今回ここまで。
あくまで作成例のひとつですが、何かのお役に立てれば幸いです。
他の方の環境でどう見えるかテストしていませんので、不安ではありますが質問等あればコメント欄にてどうぞです。ではでは。
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Comments 7

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もくお(ウッドロマン)  

ただ、ちょっと・・正直metaさんに聞いてもということなのですが
「適当な床を選択して_Colorをクリックしてカラーピッカーを呼び出し、明るさを数値入力で250にしてみます。通常なら100が最大値ですがHSUSの機能によりリミットが解除されていて白よりも更に明るくすることができるようになっています。」個々の部分。HSUSをつかってるはずなのに、ここの機能がないみたいなんです。4KグラフィックでIBL入れてない環境です

https://i.imgur.com/DlLuKhH.png

HDRピッカーさんがなんか働いてないんですが、IBL環境が必須だったりしますか?


2019/01/12 (Sat) 05:03 | EDIT | REPLY |   

もくお(ウッドロマン)  

スライダー中毒なんで、スライダーでするのかとおもっていましたが、直接数字を打ったら、できました。 恥ずかしならが無視していただければと・・・w

2019/01/12 (Sat) 05:12 | EDIT | REPLY |   

metagraphy  

To もくお(ウッドロマン)さん

そうそう数値入力なんですw
結構知られてない気もするので今回記事で紹介したかったんですよね。
カラーピッカー読み出せるところであれば全部これ使えちゃいます。

2019/01/12 (Sat) 20:20 | EDIT | REPLY |   

名無し  

metaさんのStudio講座、すごく勉強になります。
ありがとう!

2019/01/16 (Wed) 10:51 | EDIT | REPLY |   

metagraphy  

To 名無しさん

そう言っていただけて嬉しいです。
また何かネタ思いついたら更新しますね!

2019/01/18 (Fri) 02:40 | EDIT | REPLY |   

名無し  

RendererEditorをどのように使っているのか前々から疑問だったのですが、かなり丁寧に解説されていてとても助かります。
頑張って使いこなしてみたいと思います。

2019/01/29 (Tue) 01:40 | EDIT | REPLY |   

metagraphy  

To 名無しさん

コメントありがとうございます。
RendereEditorの日本語説明はあまり見かけなかったので、今回はこれをテーマにやってみました。
使いこなすと表現の幅が広がるのでぜひトライしてみてください!

2019/01/31 (Thu) 16:43 | EDIT | REPLY |   

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